2011年2月26日土曜日

ワルキューレ

ランニング中にふと空を見上げると星が流れていた。
そう言えば、小さいころは流れ星なんて一生見られないんじゃないかと思っていた。物語の中にはよく出てくるけど、私の前には流れ星はおろかその痕跡すら現れなかったからだ。そして流れ星に願いを託すと、それが叶うと信じていた。
流れ星は一秒にも満たない時間だけしか夜空を走らない。子どものころは夜空に接する時間が少なかったから見られなかったのだろう。ただそれだけのことなのかもしれない。

ランニング後、映画「ワルキューレ」を見る。「ワルキューレ」は実際にあったヒトラー暗殺未遂事件の話。1944年07月22日にシュタウフェンベルグ大佐の指揮の下、「ワルキューレ作戦」が決行される。その作戦は、ヒトラーを暗殺し、ヒトラー暗殺後に実権を握るであろうSSを排除するために、予備軍を使うことだった。歴史が語るようにその作戦は失敗する。その時代のナチスドイツのヒトラーの強固な支配体制を崩す作戦を考えること、そしてそれを実行するにあたって命令を下すことは、とてつもない意思の力が必要だったに違いない。

昨年夏、ドイツに行ったときにそのシュタウフェンベルグ大佐が銃殺された場所に行った。その時の私はほとんどその作戦のことも知らず、物思うことができなかった。ああ、ヒトラー暗殺計画が失敗したんだな、くらいしか思えなかった。映画はドラマだから多少劇的に脚色しているかもしれないが、その作戦の規模を考えれば、あの場所で感慨にひたり、処刑された人物を偲ぶことができただろう。それが残念でならない。

真実を知らずに明るい場所だけで生きていくのは子どもの生き方だろう。大人は暗い場所でも直視して耐えなければならないこともあるかもしれない。まだまだ私も子どもということか。

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