2010年12月15日水曜日

平川克美氏講演

立教大で行われた平川克美さんの講演会に行った。平川さんは、ビジネス成功への方策は戦略を立てることではなくいい商品を作ってそれを売ることであるという。僕は著書でその考えを知っていたが、改めてそう聞くと新鮮に聞こえる。しかし当然過ぎるほど当然な話である。
それを説明するのに二重の交換とInvisible Assetという話が出た。二重の交換とは、モノとお金の等価交換と商品や企業に対する信用と信頼の不等価交換。Invisible Assetは「眼に見えない資産」であり、BS(貸借対照表)やPL(損益計算書)はこのInvisible Assetの後からついてくる結果の話であるという。ふむふむと納得する。

僕は今までビジネスについてまともに勉強していたわけではないから、ビジネスについての考え方やそれに関連する用語についての知識はテレビなどのマスメディアから無尽蔵に送られてきた情報からしか得ていない。そうして得てきた情報を思い返してみると戦略やビジョンの持ち方などに関するものが多いかもしれない。もしかしたら平川さんの主張のような意見を聞いていたとしても、そうではないものにかき消されていた可能性もある。
実際に第一線で働いている経営者からそういう当然の事柄が聞けてよかった。

思考形成は家族から始まる。その前提からのエマニュエル・トッドの家族制度と会社の関係の話も面白かった。しかし僕が考えさせられたのは「自分で考える」ということ。

よく聞く。「自分で考える」ということは色んな人が色んなところで話していて、僕はその度に「よく分からないこと」にカテゴライズして、その問題から通り過ぎていた。しかし今回、平川さんから聞いたその話は不思議なことにいつものように通り過ぎることはできなかった。
それで「自分で考える」について自分で考えているのだけど、考えれば考えるほど難しいことに気づく。自分の知識は読者など外部からの情報によるものから形作られていて、無意識のうちに人が考えたことを流用しているだけかもしれない。
そういう観点から考えると、読書によって新たな知識を得れば得るほど自分で考える領域が減るのだろうか。でも読書が悪いことだとは思いたくないという気持ちは強くある。そういうジレンマに陥った。

とにかく今日の講演会は有意義だった。また聞きたい。平川さんは来年4月から立教MBAコースの特任教授に就くらしい。MBAという選択か…。

0 件のコメント:

コメントを投稿