2010年4月14日水曜日

生命

坂東眞砂子『「子猫殺し」を語る 生き物の生と死を幻想から現実へ』を図書館で借りて読んだ。

2006年8月の日経新聞のエッセイはネット上、週刊誌上で話題になった。作家の坂東眞砂子が「生まれた子猫は殺す」という内容のものだ。こういう内容だから坂東は相当なバッシングを受ける。
その当時、僕もネット上でそのエッセイを読んだで、なかなか難しい問題だと感じた。ペットとして飼うイヌとネコに対して去勢をするという日本で当たり前に行われていることにちょうどそのころ違和感を感じていたからだ。

生命というのは不可解だ。我々人間も何故か分からないが生きようと必死だ。
僕は大学で分子生物学と生態学を学んだ。多くの生命現象を見ていて、それはマクロなものからミクロなものまでという意味だが、生命が生命である最大の理由や目的は自身の遺伝子を残すこと、つまり子孫を反映させることであると考えざるを得なかった。鳥のメジロがいかに環境に適応して小笠原でその数を増やしてきたか、分類学上生物ではないウイルスにしても宿主を利用して自身のDNAを残そうとしているなどその形は様々だ。

そのエッセイに対する反応は「殺された子猫がかわいそう。」というものばかりで、生命とヒトとの関係、ペットと人間の関係を改めて考えようとしたあのエッセイの本質はどこかに忘れ去られてしまっていた。

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