2010年10月26日火曜日

物語

喫茶店が舞台のドラマや映画では謎の客がしばしば登場する。
そういうものを見ているときは、こんな怪しげな客いるわけないと思う。こんなに外見が分かりやすくて秘密を持っている人間がこの現実の世界にいれば、人生もっとおもしろい。浅はかなストーリーを作るものだ。俺が小説を書くときはそんなもの登場させるか。もっとリアリスティックなものにするのだ。
しかし自分の存在を客観的に見てみると、それをバカにできない風貌であり雰囲気である。何故こんな時間にいい年齢の男が読書をしに喫茶店にいるのか。しかも毎日ストレートコーヒーのブラックしか頼まない。謎の客。そうカテゴライズされている可能性を、どうして今まで自分には適用させなかったのか。
そういうことを考えていたら、ふと自分の体験していることはそのまま物語になるんじゃないかと思った。そういう経緯で物語を書き始めた。完成するか分からない。しかしそもそも僕の日常は何かを目指しているものではない。どこかで出来事が終わるかもしれないし続いていく日常を描くだけかもしれない。
思えば独特の人生を歩んでいるような気はしている。人生が独特かどうかというのは難しい問題である。もちろん独特でない人生なんてものは存在しないかもしれない。しかしかつて一億総中流と言われた日本の社会では人生の平均値帯は存在しそうだし想像しやすい。小学校に通い中学校に通い高校に行き、就職するか大学へ進学後就職する。大まかに言えばそういう感じ。そういう意味で言えば僕は人がつまづかないところでことごとく転び、北へ向かうべきところを南へ行ってみて迷子になっている。そんな人生な気がする。登場人物がつまずかなかったり、行くべき方向しか見ていないような話であれば、どれほどつまらない話になるのやら。まさに小説向き我が人生である。

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